2020中山金杯、考察と予想 クレッシェンドラヴ、ザダル、トリオンフ等

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◎クレッシェンドラヴ

〇レッドローゼス

▲トリオンフ

△ギベオン、ウインイクシード

注ブラックスピネル、カデナ、ザダル

 

今回のメンバーで前に行きたい馬はタニノフランケル、ブラックスピネル、ウインイクシード、トリオンフ、イレイション、ノーブルマーズとそれなりに揃ったため、ペースの予想としてはMペース以上で、スローにはならないと考えています。

このことから、条件が向くと思われるステイゴールド産駒2頭を評価しました。

2頭の考察は以下の通りです。

j-gathering.hatenablog.com

 

3番手評価はトリオンフとしました。

前走チャレンジカップは固く軽い馬場で、瞬発力に優れた後方勢が上位を占める中で逃げて2着に残したのは評価できると思います。

この馬より内枠で前に行きそうな馬はブラックスピネル、ノーブルマーズ辺りですが、テンの脚が上のこの馬がポジションを取れると思われるので、Cコース替わりの恩恵も受け、2, 3着に残ると考えています。

 

ウインイクシードは上がりのかかる展開で結果を残していますし、中山は2-3-1-2と得意舞台です。展開に関しても、4枠8番で7番のトリオンフを見ながらポジションが取れるというのも良い点ではないかと思います。

ギベオンは前走チャレンジカップで直線大きな不利を受け、完全に脚を余したレースとなりました。近走着外が続いていて、勢いの落ちたディープは消しという点からは良くありませんが、G3では着差0.4秒以内で、今回のメンバーの差し馬の中で最も力があると考えているので、3着に来る可能性は十分にあると思います。

 

確率は低いですが、3連系で抑えておきたい馬としてはこの3頭を考えました。

内枠でロベルトの血を引くブラックスピネルは前残りの展開で。

カデナは追込中心のため、直線が長く平坦なコースの方が向きますが、後方有利な展開で、当日外が伸びる馬場状態であれば、決め手は十分なので一発穴をあける可能性があると思います。

ザダルに関して、前走菊花賞は明らかに距離が長かったため無視できるとして、前々走のセントライト記念の評価が難しく感じました。重馬場の中山2200でこれだけのパフォーマンスができれば、今回の条件が不利に働くことは無いはずですが、セントライト記念は終始内を回り、直線でも内をついての結果でした。8着までの着差も0.4秒で、それらの馬が外を回してきたことを考えると、地力に疑問が残ると感じたため、低い評価としました。しかし、成長分は未知数ですし、当日外伸びの馬場であれば3着に入ってくる可能性も考えられるので抑えた方が良いと考えました。

 

枠を見て評価を落としたのは、タニノフランケルマイネルサーパスです。

タニノフランケルは前年3着に入っていて、サドラーズウェルズとロベルトの血を引くため、冬の中山という条件自体は問題ないと思います。しかし、前年は斤量53kgで1枠1番。適性距離は1800mで、2000mの場合、ペースが緩んで前有利にならない限りは厳しいと考えているので、今回の斤量55kg6枠12番で内に逃げ馬がいる、という条件では厳しいと考え無印にしました。

マイネルサーパスも内枠から前に付けられれば、といったところですが、前走と同様に8枠16番で中団好位からとなってしまうと十分な決め手のないこの馬だと厳しいと考えました。

 

 

2020中山金杯考察 冬の中山で走るステイゴールド産駒の特に好走する条件

 

先週の馬場は上がりが掛かり、外差しがそれなりに決まる状態でした。今開催からはCコース使用となり、先週よりは内が有利になり、全体的に時計は速くなるかと思われますが、基本的にパワーのいる馬場であることには変わらないでしょう。

 

また、中山金杯は内枠有利、外枠不利という傾向が確かにありますが、昨年同時期の中山では外差しが良く決まっており、実際ステイフーリッシュが8枠15番から2着に来たように、その時の馬場状態をよく見て内外の有利不利がどうなっているかを確認する必要があります。確かに、過去10年で7、8枠から馬券に絡んだの昨年のステイフーリッシュのみなのですが、それ以前の10年では毎年のように7、8枠の馬が絡んでいました。

 

ステイゴールド産駒の特徴を簡単にまとめると、

・パワーに優れ、重い芝やスタミナを消耗してからの底力を問われるレースに強い。

・直線が短い内回りコースや急坂のあるコースでも鋭い脚が使える。

ということで、基本的に冬の中山芝2000mは得意な舞台なのですが、中山金杯においてはもう一つ条件を加えて考えると、ステイゴールド産駒の取捨がしやすくなると思います。

それはレースのペースです。

以下は、ステイゴールド産駒のペース別成績とそれぞれの平均人気、平均人気の成績との比較をしたものになります。

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 基本的な特徴から分かるように、タフな流れから上がりが34秒台後半以上掛かるような展開で結果を残しています。逆にスローの瞬発力勝負となると極端に成績が悪くなっています。そのため、ステイゴールド産駒の取捨を考えるうえで、そのレースの逃げ先行馬を確認することが必要となってきます。

 

今回登録しているステイゴールド産駒は

アクート

クレッシェンドラヴ

ショウナンバッハ

レッドローゼス

の4頭です。

 

アクート

追い込み一辺倒でしたが、18年秋ころから前目につける競馬を試し始めたことで成績が安定してきました。しかし、好走したレースは+2秒以上のスローペースのレースばかりで、上がりも33秒~34秒前半の脚を使っていて、中山で好走する典型的なステイゴールド産駒とは少し異なる所があると思います。

 

クレッシェンドラヴ

ステイゴールド×サドラーズウェルズというかなりスタミナとパワーに優れた血統構成です。 基本的に中団後方から早めに仕掛けて押し上げて、直線で前目から差す競馬をします。典型的なステイゴールド産駒の特徴が表れていて、上がりのかかるレースやパワーの要するコース(主に中山)で結果を残しています。野芝のみで高速馬場となっていた9月の中山で33.9、34.0の脚を使いながらも共に着外となっており、基本的に34秒後半以降の上がりを使ったレースで好走しています。

成績的に去年のマウントゴールドを思い起こさせるところではありますが、マウントゴールドはスローで逃げて34秒前半の脚を使って好走する馬で、去年の中山金杯では出遅れて馬群の中での競馬になってしまったことがあの結果となったように思えます。

 

 ショウナンバッハ

後方待機の追い込みで、Hペースで前が崩れたときにたまに馬券内に来る程度。

右回りより左回りの方が良く中山は(0-0-1-12)と微妙で、狙うなら左回りで直線の長いコースの方が良いのではないかと思います。

 

レッドローゼス

この馬も、ステイゴールド×サドラーズウェルズです。クレッシェンドラヴと似たタイプで、後方から捲っていき、長く良い脚を使って勝負するタイプ。前走の福島記念では人気しながらも着外に沈んでいますが、これは小回りのコースで直線まで後方のポジションだったことがかなり響いた結果でした。函館記念は、完全な前残りの展開でした。平均ペースで楽逃げした前2頭がそのまま直線も楽に押し切ってしまい、実質後半5Fのロングスパートで最後の直線で差し切る脚は残っていなかったといった感じでした。函館記念で同じように立ち回ったステイフーリッシュに置いて行かれたところを見ると少し物足りなさを感じますが、血統的にも今回の舞台は合っていますし、人気もしていないので期待したいところです。

 

 

今回、逃げ先行馬がそれなりにいるのでそこまでペースが緩むことは無いと思いますが、出走回避や枠の問題もあると思うので、枠順確定後の展開予想はそれなりに重要なのではないでしょうか。

 

出走馬が確定し、条件の合わなさそうな産駒2頭は出走しないことになりました。

 

今年の2歳戦から見るコーナーの回りと手前に関する考察 2. 2歳G1上位各馬について(阪神JFレシステンシア、朝日杯FSサリオス)

阪神JF朝日杯FSホープフルS上位馬のうち、レース中の手前の扱いから何か読み取れそうなものがある馬について考えていきたいと思います。

 

まずは阪神JFから、1着のレシステンシアはかなり頻繁に手前を替えていました。

右手前で入った3コーナーから後を書くと

左手前 3~4角

右手前(回転襲歩) 2完歩 4角

右手前

左手前(回転襲歩) 9完歩 内回りとの合流地点過ぎまで

右手前 

左手前(回転襲歩) 5完歩 残り1Fまで

左手前

右手前(回転襲歩) 1完歩

右手前

左手前(回転襲歩) 1完歩

左手前 ゴールまで

 

手前、回転襲歩、交叉襲歩については以下より

j-gathering.hatenablog.com

 

基本的に手前替えというのは後肢、特に反手前後肢の力をたくさん使うため、余裕がない状態ではできなくなることから、この時のレシステンシアに余力があったということはレース内容も合わせれば簡単にわかります。ただ、ここで注視したいのは、青文字の部分です。手前替えの際の回転襲歩が9完歩とかなり手こずっているうえに、その後手前を右に戻してしまい、結局手前替えは完了されませんでした。ここから考えられるのは、左後肢に痛みを感じていた、あるいは、右手前が好み、ということの2つとなります。しかし、現時点で故障等の話は無いことから、右手前が好みであるというのが原因だと考えることができます。

過去のレースも見てみると、新馬戦(京都)では手前を頻繁に変えることは無く、直線で右から左への手前替えは4完歩を要していました。ファンタジーSでは阪神JFと同様の手前替え損ないがあり、これも右から左に変えられず、6完歩の回転襲歩を挟んで右手前に戻してしまいました。

過去のレースを見ても右から左への手前替えが上手くいかず、右手前が得意であることが読み取れるため、今のところ右回りしか経験はありませんが、左回りでも問題なく、むしろ左回りでよりパフォーマンスを上げてくる可能性もあります。

桜花賞に向けて、チューリップ賞を使ってくるのであれば、そこで手前替えがどれだけ上手くなっているのかを見ていきたいところではあります。

 

 朝日杯FS1着のサリオスについて。

デビューから2戦、東京を使ってきたのは、厩舎側が左回りの方が良さそうだと感じていた可能性もありますが、大型馬であることから広いコースの方が良いと考えていた方が大きいのではないかと感じています。というのは、ここ3戦の走りを見ると、新馬戦(東京1600)ではコーナーを左手前で抜けた後、ゴール寸前まで手前を替えずに走り切っていました。サウジRC(東京1600)では直線残り500mの位置で手前替え。朝日杯FSの最終追い切りで手前を替えず、直線も右手前で走っていたことから、右から左への手前替えに少し不安がある可能性を否定できませんでしたが、本番では残り300mで手前を替えていました。加えて、3レース全てで右から左、左から右の手前替えを回転襲歩1完歩で完了しており、手前替えに関しては特に問題ないというところを見せてくれました。おそらく、直線に入ってからも手前を替えないというのは、回りの得手不得手や手前替えの問題ではなく、余裕がかなり残っていることの現れだと考える方が妥当なのではないかと思います。実際、新馬とサウジRCの6F通過タイムを比較すると、新馬の方が4秒遅く、この道中の追走ペースが直線での手前替えのタイミングに影響したと考えることができます。朝日杯の様子を見ても、成長分を加味すれば、右左関係なく2000mまでは特に問題なくパフォーマンスを発揮すると思います。

 

 

 次はホープフルSについて見ていきたいと思います。

 

今年の2歳戦から見るコーナーの回りと手前に関する考察 1. 馬の歩法と手前について

調教があまり進んでいない2歳戦で良く話題に挙げられる手前に関して、軽いまとめと考察をしたいと思います。

 

歩法とは

馬の歩き(走り)方には4種類あり、それらは2パターンに分けることができます。対称歩法と非対称歩法です。手前という考え方が存在するのは非対称歩法のみとなります。

 

常足(Walk)と速足(Trot)が対称歩法に分類されます。左右の肢の動きが約1/2の周期でずれている歩法の事を対称歩法といいますが、おおよそパドックで見られる歩法はこの2つでしょうか。(テンションの上がった馬が跳ねて歩いているのを速足に含んでいいのかどうかは疑問ですが。)

常足

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速足

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対して、駈足(Canter)と襲歩(Gallop)が非対称歩法に分類されます。返し馬やレース中の走り方がこれらです。これら2つには細かな差はありますがほぼ速度の差ということができるのでまとめて説明してしまうと、この歩法の場合、肢の着き方には2種類あります。

1. 左後肢→右後肢→左前肢→右前肢

2. 右後肢→左後肢→右前肢→左前肢

1のパターンが右手前、2のパターンが左手前となります。基本的には前肢を注視し、最後に着く方の肢がどちらかというのを見て判断することができます。

また、この1サイクルを1完歩と言います。

 

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 この駈足のGIFでは右手前となっていることがわかります。

この時、右前肢を手前前肢、左前肢を反手前前肢といいます。

実は、襲歩には交叉襲歩と回転襲歩があり、上で説明したように足を着く方は交叉襲歩

言われます。対して、回転襲歩

1. 左後肢→右後肢→右前肢→左前肢

2. 右後肢→左後肢→左前肢→右前肢

というように足を着きます。

回転襲歩は、スタート後のように加速をする場面で使われ、交叉襲歩に比べて疲労しやすいという特徴があります。交叉襲歩は、速度を維持しながら走る場面、すなわちスタート後以外のレースのほとんど部分で使われています。

 

 

手前と進行方向について

左右非対称の歩法では、馬体を前に進める力の働く方向は正面方向とはなりません。主に推進力を発揮しているのは反手前後肢で、進行方向を定めるのが手前肢となっているからです。上のGIFで言うと、左後肢が推進力を発揮し、右前肢が進路を定めています。したがって、力の働く方向、すなわち馬にとって楽に進むことができる方向は右斜め前方向となります。

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これがコーナーを回る時の手前に関係します。上の図を見てわかるように、右回りの時は右手前で走るのが最も効率よく走ることができるということになります。となると、右回りのコースでは常に右手前で走っているかと言うと、そうではなくコーナーを抜けて直線に入るところで手前替えを行うのが一般的です。

手前替えとは、言葉の通り手前肢を左右で入れ替えることです。右手前から左手前に変えるとき、実際は

1.  左後肢→右後肢→左前肢→右前肢 (交叉襲歩)

2.  左後肢→右後肢→右前肢→左前肢 (回転襲歩)

3.  右後肢→左後肢→右前肢→左前肢 (交叉襲歩)

というように手前の変換を完了します。しかし、手前替えが苦手な馬だと、2.の回転襲歩が数完歩続くことがあり、スタミナロスとなる場合があります。

襲歩の場合、四肢のなかで最も負荷がかかっているのは反手前前肢であることが分かっています。そのため、同じ手前で走っていると疲労が偏ってしまうことから手前替えが行われます。手前替えは馬が自発的に行う場合と騎手の指示による場合があります。2歳馬で、得意な回りでは走るけれどそうではないと力が発揮できないというのは、調教を十分に重ねていないため、手前の扱いに慣れていないということも一つの要因として考えられます。

また、人間の利き手と同様に馬にも好みの手前があると考えられています。スタート後、通常騎手はコースの回りを考えて、右回りであれば左手前で走らせようとしますが、中には回りに関係なく好みの手前で走る馬がいます。例えば、スタート後いつも右手前で走っている馬は、最後の直線を好みの右手前で走る方が伸びると考えられるので、コーナーを左手前で回ることができる、左回りのコースの方が得意だと考えることができます。

回りの得意不得意が分かれば、条件変化で上積みの期待できる馬、不安要素になる馬の判断がつくのではないでしょうか。

次は、2歳G1出走馬それぞれについて見ていきたいと思います。

 

 

 

余談ですが、好みの手前が生まれる要因として、仔馬の時の地面の牧草を食べるときの姿勢にあるとされています。仔馬は体高に比べて肢が長く、頭を下げても地面に届かないため、前肢を前後に開いた姿勢を取ります。この時前に出す方の肢が好みの手前肢になるというものです。この仔馬の時の好みの手前は3歳になっても残る傾向にあり、特に好みが残る馬の特徴として、体高に比べて肢が長く、頭が小さいといったものがあるとされています。また、この姿勢を取り続けることで、左右の前肢の蹄の擦り減り方に差がでた結果、蹄の角度に差が出ることも要因の一つとされていて、今後、体型や蹄型と好みの手前、逆の手前での怪我のリスクに関する研究、調査が必要とされているようです。

 

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2018年「ぱどっく」5号p17 サラブレットのスポーツ科学 第65回 走行時の手前と蹄、体型との関係(JRA競走馬総合研究所) より引用

 

 

 

 

 

 

 

 

2019 ホープフルステークス回顧 コントレイル、ヴェルトライゼンデ、ワーケア等有力馬の考察

 

 

  • 結果

上位人気6頭の結果

1着 コントレイル (35.8)

2着 ヴェルトライゼンデ (35.8)

3着 ワーケア (35.9)

4着 ラインベック (36.9)

5着 オーソリティ (36.3)

9着 ブラックホール (37.5)

 

2014~2018の5年間の平均ラップと2018、2019のラップタイム

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パンサラッサがハナを奪い、道中は12秒台前半という淀みない流れに。足が溜まらないというほどではありませんが、余裕たっぷりの瞬発力勝負ではないため最後坂で垂れた、というラップのように思えます。瞬発力、スタミナ、レース運び等、総合的な力が問われたのではないでしょうか。

 


コントレイル

先行した3頭の後ろに控え、外も空いている絶好のポジション。直線追い出すだけで不利もなく、持っている力を出して勝ったという感じでした。新馬戦、右回りの阪神で左手前で走っていたことから右回りに対する懸念はありましたが、今回は右手前で問題なくスムーズに走り、このレース内容では懸念材料といえるようなものもなく、強いということしかできません。ただ、本質的には左回りの方が高いパフォーマンスを発揮すると思います。皐月賞では、昨年のサートゥルナーリアのようにかなり人気すると思われますが、レース後のコメントによるとダービーが本命で皐月賞直行ということなので、皐月賞では仕上がりに注意して評価する必要があると思われます。

 

ヴェルトライゼンデ

スタート後コントレイルの後ろにつけてマークする形に。コントレイルよりもスピードがあるとは言えない中で、先着するにはコントレイルの前に付けるか早めに仕掛けることが必要だったように思えますが、外があいてなかったこともあり3角過ぎからコントレイルの通ったスペースを通り、直線追い比べ。結果、位置取りの差が詰まらず負け、といった感じの内容でした。それでも直線のスピード、瞬発力は十分ですし、母マンデラは独オークス3着、半弟マンデュロはG1を3勝していてドイツからの血を引いていることから、中長距離で特に期待したいと思います。

 

ワーケア

スタンド前直線で左右の馬に挟まれポジションが取れずヴェルトライゼンデの後ろにつける形。ペースが緩んだタイミングで捲っていきたいところでしたがこのラップでは好機は来ず、4角前で早めに仕掛けていくオーソリティを見ながら我慢し、直線で1, 2着馬に劣らない切れ味で3着。ポジションの差を考えれば世代上位の力を示してくれたと思います。右回りも左回り同様に走れるようですが、レース後のコメントから、ギアのかかりが遅いということなので直線の長いコースではより力を発揮できるかもしれません。

 

ラインベック

2番手の理想的なポジションでレースを進めましたが少々力負けといった印象です。ただ、直線の坂でオーソリティに差されると思いましたがかなり粘っていた所を見ると、底力はそれなりにあるのかと思われます。

 

オーソリティ

ワーケア同様スタート後の接触で外にはじかれ、ワーケアの外でレースを進めました。3角過ぎで前を行くガロアクリークの手ごたえが怪しくなると、これ以上ポジションを下げられないと考えてか、外から捲っていきましたが、この時のラップは12.0, 11.9で、内から4頭目ほどの外を回されたためかなり脚を使わされてしまい、直線での伸びが今一つでした。また、直線に入っても手前を替えずに右手前のまま走っていたことも影響していると思われますが、右回りでのパフォーマンスはまだ伸びしろがありそうです。今回は問題なかったようですが、母がエピファネイアの全妹、父がオルフェーヴルということで気性面の不安もあるので、全体的な成長に期待したいところです。

 

ブラックホール

内からコントレイルを前に見る形でレースを進めましたが、直線の伸びは無く、坂にかかるとやめてしまった感じでした。前走までより前で競馬したこともあるかと思いますが、小回りのコースで内々を窮屈に回るのがあっていない可能性もありますので、外枠、外回り等の条件で巻き返しに期待できるかもしれません。

 

 

2019 ホープフルステークス 前走までの相手関係を獲得賞金から比較、考察する。

個人的に2歳戦は難しく感じていて、正直勝負するつもりはないのですが、ただレースを見るだけというのももったいないので、何か手を動かして考えようと思って今回思いついたのがタイトルの内容です。率直に言ってただの興味でしかないです。正統な予想方法ではないことを自覚していますし、ホープフルステークスにおける過去の傾向も調べていないので何とも言えないのですが、レースを見て興味深い結果が出たら過去の傾向も調べようと思っています。

 

比較する数値の選択について

競走馬の能力と賞金に一定の相関があるというのを前提として、競走馬の能力を表現するのに最も適した数値は何か、と考えたとき、

1, 獲得賞金 2, 収得賞金 3, 1走当たりの獲得賞金 4, 1走当たりの収得賞金

が挙がりました。しかし、時期的に収得賞金を得ている馬が少ないこと、数多く出走し未勝利戦で賞金を重ねている馬を過大評価してしまうこと、を考慮した結果、

3, 1走当たりの獲得賞金

を比較に用いることにしました。また、自身の賞金で比較すると、レースの賞金の差が強く影響してしまうと思い、倒した馬の1走当たりの獲得賞金で比較するほうが良いと考えました。

単純に、倒した馬の1走当たり獲得賞金の平均が高い、ということは強い相手に勝ってきたことを意味するということになります。

 

 

東スポ2歳Sを例に挙げると、

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コントレイルの場合、アルジャンナからソウルトレインまでの生涯獲得賞金の合計

ラインベックの場合、オーロラフラッシュからソウルトレインまでの生涯獲得賞金の合計

となります。

 

新馬・未勝利戦から直行する馬はどうしても数値が低くなってしまうため、新馬・未勝利戦限定の数値も出して比較することにしました。

 

以下は、推定オッズ100倍以下の出走予定馬の比較になります。

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これでみると

1位 コントレイル

2位 オーソリティ

3位 ヴェルトライゼンデ

となります。また、新馬未勝利戦からみると

1位 オーソリティ

2位 ラインベック

3位 ワーケア

となります。

したがって、共に順位の高いオーソリティを評価するという結論になります。

この結果に、前走までのレース内容や適性の考慮を加えながら考察し、レースを見てみたいと思います。

 

 

2019 有馬記念 回顧 アーモンドアイ サートゥルナーリア リスグラシュー

1着 △リスグラシュー

2着 ○サートゥルナーリア

3着 無ワールドプレミア

4着 △フィエールマン

5着 注キセキ

8着 ▲ヴェロックス

9着 ◎アーモンドアイ

10着 注エタリオウ

12着 △スワーヴリチャード

 

ラップ

6.9 - 11.1 - 11.4 - 11.4 - 11.5 - 12.2 - 12.3 - 12.1 - 11.7 - 12.3 - 13.4 - 12.2 - 12.0

1000m通過 58.5

 

アエロリットがここ10年見ないレベルの速さで逃げ、向こう正面では去年より3秒弱速い流れに。今年のサートゥルナーリアのポジションに去年のキセキが来るくらいの超ハイペースになりました。結果的に掲示板に入った馬は全て道中10番手以下、さらに言えば7着までも全て10番手以下という、完全な前崩れの競馬になりました。

 

以下が向こう正面でのポジションとラップになります。

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リスグラシュー

スタート後すんなりと内を取り4角までそのまま。速い流れの中、絶好のポジションを立ち回りました。4角で外のスワーヴリチャードとヴェロックスと併走する形になり、進路が狭くなったかと思われましたが、少し強引な形で外に持ち出し、後は圧倒的な手応えでムチを使わずに5馬身の圧勝。直線での突き抜け方には驚かされました。宝塚記念は力のいる馬場への適性があった、コックスプレートは相手関係に恵まれた、というように実力の評価をしたことが大きなミスでした。

 

アーモンドアイ

今更実力を疑うタイミングでもないですが、予想時に認識していた不安材料を再確認すると、熱発後であること、初めての中山であること、2500mの距離に不安があること、でした。レースを振り返ると、まず、1コーナーを過ぎたところでフィエールマンの後ろに入れることができず、サートゥルナーリアと併走する形になりました。スタンド前では歓声の影響があったのか、掛かり気味で外を回してアルアインの後ろまで上がっていきました。この後の1コーナーからの上り坂である程度ラップが落ち着けばもう少しやれたのかもしれませんが、ここから12.2、12.3と、この区間で過去10年最速のラップを刻み、かなり消耗してしまったと思われます。結果、直線で坂にかかると走るのをやめてしまいました。結局、初の中山かつ2500mで、スタンド前を通るコーナー6回のレースだったことがかなりマイナスに作用したと考えられます。前走、内を回ってイン突きという簡単な競馬をしたことをもう少し考慮するべきだったことが反省点かと思っています。

 

サートゥルナーリア

スタート後アーモンドアイを前に見る形で進んでいましたが、1コーナーでアーモンドアイが外によれたタイミングでフィエールマンの後ろを確保。スタンド前でアーモンドアイが捲っていったとき、サートゥルナーリアも掛かりかけていましたが、スミヨン騎手がしっかり抑えてフィエールマンの後ろに入れ直した所は流石だと思いました。同じように立ち回ったフィエールマンも差し切り、2着は十分力を見せてくれました。想定していた2018年程度の一息入るラップとは異なり、グラフからわかるように12秒前半での追走となりましたが、ラスト1Fまでの加速は抜けており、成長を感じました。歓声や気性の問題が言われていましたが、この結果をみると中山での割増評価あるいは東京での割引評価が必要なのかと考えさせられます。

 

ワールドプレミア

実力が少し足りないなかで、1発狙いの騎乗で展開がきれいにハマりました。武豊騎手の完璧な騎乗でした。ただ、次走で人気した場合は成長分も加味しながら少し疑問視したい1頭ではあります。

 

ヴェロックス

 もう1列後ろで競馬できていれば着順は上がったと思われますが、斤量面で有利があってこの結果では、実力がもう一つ足りないのではないか、というのが正直な感想です。やはり距離も長かったように感じます。2000m前後で先行して粘り差しという形が、この馬にとってベストなのではないでしょうか。ハーツクライの血も流れていますので、どこかのタイミングで急成長してくれることに期待したいと思います。

 

フィエールマン

凱旋門賞帰りで身体的状態やメンタル面を心配していましたが、全く問題にしないようなパフォーマンスを見せてくれたと思っています。4角での進出が早かったために、ラスト差されてしまいましたが、これはアーモンドアイをマークした結果で仕方ないと思われます。もう少し前に出すのを我慢していれば3着には確実に残っていたはずです。実力は十分で、なおかつ状態面に不安も出ていないため、来年は国内で着実に結果を残していくと考えています。母も他のディープインパクト産駒に多い米国の早熟血統ではなく仏系の血を引いている点もまた、来年のパフォーマンスを楽しみにさせる点ではあります。